愛猫がリンパ腫と診断されるまで③~『大丈夫』と信じた10日間~

術前検査は問題なく終わった。

次回のCT検査について書かれた注意事項と、全身麻酔の同意書を受け取った。

費用は19000円ほど。

いまだ鼻がズーズーと鳴り、クシャミをするチビに「もうすぐ楽になるよ」と声をかけた。

次はいよいよCT検査だ。

言われた通り前日の夜9時以降は絶食させる。

間違ってチビがご飯を食べないよう、同居猫たちもご飯抜きにさせてもらった。

すると早朝4時から寝てる私を踏みつける、腹に乗る、髪の毛を噛むなど、3匹からのメシくれコールが始まった。

申し訳ない…今日だけ我慢してくれとお願いしたが、鳴りやまないコール。布団を被って対抗した。

結局眠れぬまま、午前9時病院に着いた。

CT検査は午前中に猫を預け、夕方に迎えに行く形だ。

先生に同意書を渡して今日の体調などを少し話し、チビを預けた。

全身麻酔のリスクは聞いていたが、避妊手術でも全身麻酔を乗り越えた。だから今回もきっと大丈夫。

「頑張れ、チビ」

そう声をかけて家に帰った。

チビのズーズー音が聞こえない。静かだけど寂しい。

半日離れるのは久しぶりだ。

落ち着かなくて、ずっと部屋の中をウロウロしていた。

迎えは午後7時くらいに来てくださいと言われていたが、気になりすぎて6時に着いてしまった。

そわそわ待つこと1時間。ついに診察室でチビと再会した。

キャリーに入ったチビは縮こまり下を向いていたが、私に気付くと大きく「ニャー!」と鳴いた。

あぁ、元気そうだ。よかった。ホッとして深く息を吐いた。

キャリーに指を突っ込んでチビの頭を撫でていると、先生が少しためらった様子で口を開いた。

「検査の結果ですが…鼻に腫瘍が見つかりました」

あの頃の私は、「腫瘍」という言葉の重みを知らなかった。

なので「そうですか」とあっさり返事した。

この時もっと詳しく話を聞いていれば、と後々後悔した。

「詳しく調べるために病理組織検査にだします。結果は10日後です」

結構時間かかるんだな、と呑気に考えながら診察室を後にした。

CT検査の費用は諸々込みで72000円ほどだった。

家に着き、チビをキャリーから出した。

まだ麻酔の抜けていない彼女は足取りが覚束なく、不安なのだろう。私にピッタリとくっついて離れなかった。

頑張った!強い子だ!今日はチビファーストの日にしよう。

一緒に寝ころび、首周りを撫でながらスマホで腫瘍について調べた。

検索結果は「猫の腫瘍は80~90%は悪性腫瘍」という目を疑う文字の羅列。

嫌な汗がドッと噴出した。

いやいや待て待て。言い換えれば10~20%は良性なんだ。

以前先生は「ガンの可能性は低い」って言ってたじゃないか。

それに前に飼ってた犬も胸に腫瘍ができたけど良性だった。

さらに詳しく調べると、ガンを発症するのは7~8歳以降ののシニア期の子が多いそうだ。

うちの子はまだ3歳。

だから大丈夫。きっと大丈夫だ。

そう自分に言い聞かせた。

何度も「大丈夫」と言い聞かせた10日後。

あの日は忘れられない。

空は曇って、着込んでいても少し肌寒かった。

「チビちゃんは悪性リンパ腫です」

最も聞きたくない言葉が先生から出た。

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