抗ガン剤治療4週目は、ドキソルビシン。
強い薬と聞いていたので、副作用も強く出るのではないかと心配だった。
しかし幸いにも、半日ほど下痢と吐き気があっただけで、酷い症状が続くことはなかった。
鼻のズーズー音や鼻水もおさまり、鼻の通りが良くなったおかげで食欲も増した。
5週目は抗ガン剤の投与はなく、血液検査のみだった。
結果は良好。
少し腎臓の数値が高かったが、そこまで心配するほどではないと言われて安心した。
これで、抗ガン剤治療の1クール目が終わった。
抗ガン剤治療は最初の1クールが大事だと聞いていたので、無事に終えることができて嬉しかった。
チビも通院に慣れてきたのか、以前ほど暴れることはなくなった。
ただ、帰り道で物凄く文句を言われる。
2クール目からは、また1週間に一度の通院になる。
大変だけれど、このまま乗り越えていけると思っていた。
姉の友人が飼っている猫も、チビと同じ鼻腔内リンパ腫を発症していた。
その子も同じCHOP療法を受け、無事に寛解までたどり着いたと聞いた。
だから私は、チビもきっと同じように乗り越えられると信じていた。
しかし、2クール目が始まると、不穏な影が差し始めた。
6週目と8週目。
ビンクリスチンを投与したあと、決まって鼻水やくしゃみなどの症状が出るのだ。
最初は、薬の効果が出るまで時間がかかるのだろうと思っていた。
けれど、1週間経っても症状がおさまる気配がない。
一方、7週目のシクロフォスファミドを投与した時は、次の日には症状がおさまった。
まさか。
私はスケジュール手帳を開いた。
チビが抗ガン剤治療を始めてから、毎日欠かさず体調を書き記していた。
これまでの記録を、一つずつ見返していく。
そして、その「まさか」は確信に変わった。
症状が出ているのは、決まって同じ抗ガン剤を投与したあとだった。
チビには、ビンクリスチンが効いていない。

