愛猫がリンパ腫と診断されるまで➁~「ガンではない」と言われた日~

大きな病院に向かう日。私は不安に襲われていた。

鼻がズーズー鳴る。鼻血が出る。調べると、それは鼻の中にガンが出来たときにでる症状だという記事を見つけたのだ。

きっと心配のし過ぎだ。かかりつけの先生からは鼻腔狭窄かも、と言われてるんだ。

先生が言ってるんだから大丈夫。

そう自分に言い聞かせた。

私は免許を持っていないので母に頼んで病院に向かった。

片道40分。車内に響くチビのズーズー音を聞きながら、母と何度も「ガンだったらどうしよう」と言い合った。

病院に着いてからも不安で、キャリーバッグをギュウギュウ抱きしめた。

診察室に通され、一通り触診された後、レントゲンを撮るためチビは別室へ連れていかれた。

待っているだけの時間はとても長く感じた。

やがて緊張でカチコチに固まったチビが帰ってきた。

ビビりな彼女だから怖かっただろう。家に帰ったらお高いオヤツあげるからね!

「えっと…レントゲンをみた感じですが…」

撮れたてホヤホヤの頭部のレントゲンを見ながら告げられた。

「鼻腔内は確かに狭くなってますが、鼻の辺りに白い影はないのでガンの可能性は低いです

パッと目の前が明るくなった。

命に関わるものじゃない。

やはり鼻腔狭窄なんだ!

歓喜の雄たけびをあげ、小躍りしたいのを理性でなんとか押しとどめた。でもニヤける顔はどうしても隠せなかった。

そんな私を見ながら先生は今後の流れを説明してくれた。

CT検査は全身麻酔で行うため、次の週に術前検査を受けることになった。

その次の週にCT検査。前日の夜9時以降は絶食、当日の朝7時以降は引水も禁止。

「少し大変ですが」と先生は言った。

それくらい屁でもねぇ!だってチビの命は大丈夫なのだから!

先生にペコペコ頭を下げて診察室を後にした。

今日の会計は9800円だった。

いつもなら「高ぁ!」と心の中で叫んだろうが、浮かれきった私は笑顔で精算機に万札を突っ込んだ。

あばよ諭吉!

帰りの車の中、「よかった、よかったねぇ」と母と喜び合った。

チビ、私と一緒に年を取ろう。

君がヨボヨボになったら、「お互い老けたな」って笑いあおう。

「ガンではない」。あの日の私は、その言葉を疑う理由なんて、一つもなかった。

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