愛猫チビのリンパ腫闘病記③~CHOP療法2回目。白血球減少と小さな希望~

抗ガン剤2回目を打つ日。
キャリーをクローゼットから取り出した瞬間、チビはダッシュで姿を消した。
そうだよね。怖くて痛い思いをしたもんね。 まだ1週間しか経っていないのに、また病院か!と思ったよね。
ごめんよ、ごめん。
コタツの中に身を潜めるチビを引っ張り出し抱き上げると、とても軽かった。

おのれ悪性リンパ腫。                                       名前を聞くだけで腹が立つ。もし形のあるものなら、この手で叩き潰してやりたい。

早くこの小さな体から出ていってくれ。                                     そう願いながら、病院へ向かった。          

まずは血液検査。
暴れて診察台から逃げようとするチビを、看護師さんと2人で押さえた。 仕方がないこととはいえ、この瞬間だけは何度経験しても慣れない。
体重は3.16kg。また少し減ってしまった。

最初は血液検査から。

検査結果を見ると、WBC(白血球数)は前回の11.43から3.17まで下がっていた。
基準値内ではあるものの、かなり低い数値だ。 体を守る白血球が大きく減っている。

「かなり体調が悪くなっているのでは?」

「今日は抗ガン剤を打てないのでは?」
不安になったが、先生は落ち着いた口調で言った。


「この数値なら抗ガン剤は打てます。」

本当に大丈夫なのだろうか。 打ったらさらに数値が悪くなるのではないか。
そんな不安もあったが、相手はプロだ。 とにかく先生を信じることにした。

今回使う抗ガン剤はシクロフォスファミド。
さらに皮下点滴も行うという。
理由は、シクロフォスファミドには「出血性膀胱炎」という副作用があるためだ。
薬の代謝産物が膀胱を刺激することがあるため、水分を補給して早めに体の外へ排出する目的で皮下点滴を行うらしい。
出血性膀胱炎は猫では稀だという。 それでもゼロではない。
だから皮下点滴で水分を補給し、排尿回数を増やして膀胱への負担を減らすのだ。


処置を終え、診察の最後に、実際に持参したサプリメントを先生に見せて聞いてみた。
「このサプリは飲ませても大丈夫ですか?」

「今やっている治療はCHOP療法ですか?」


先生は
「サプリは併用して大丈夫です。」
そして、
「CHOPのプロトコルですよ。」

なるほど。CHOPで合っていた。
だが、新しい言葉が出てきた。
プロトコル?また新しい薬の名前なのだろうか?
忘れないよう脳みそに刻み込み、会計待ちの間に検索した。

プロトコル(プロトコール)とは、治療計画書のこと。
料理で例えるならレシピだ。
どの薬を、何週間ごとに、どの順番で使うのか。 そうした治療の流れが決められている。
ただ、同じCHOPでも病院や猫の状態によって、薬を投与する順番や内容は多少変わるらしい。
覚えることが多すぎて頭がパンクしそうだ。
それでも、治療方針が分かったことに少し安心した。


費用は18255円。
ビブラマイシンという抗生物質と、プレドニゾロンというステロイドを処方された。

家に帰り、キャリーバッグを開けると、チビは一目散にクローゼットへ駆け込み、そのまま引きこもってしまった。

相変わらず鼻はズーズーと鳴っていた。
血混じりの鼻水も、くしゃみも、涙目もおさまらなかった。
一日のほとんどを、薄暗いクローゼットやコタツの中でじっと過ごしていた。

この治療で本当に良いのだろうか。
少し不安になった。

だが、2日後。
チビに変化が起こった。


鼻のズーズーという音がなくなったのだ。
くしゃみも、鼻水も、涙目も治まっていた。
鼻が通るようになったからだろうか。
それまで液体のおやつしか口にしなかったチビが、カリカリを食べた。
しかも、同居猫のご飯まで奪って食べたのだ。
何日ぶりだろう。チビの咀嚼音を聞くのは。

食べ終わると、爪研ぎでバリバリと爪を研ぎ、そのままキャットタワーのてっぺんまで一気に駆け上がった。
「なんか調子がいい!」と顔が語っている。
目がキラキラしていた。

久し振りの『普通の生活』に目頭が熱くなった。
チビは生きようとしている。


その姿が、ただただ嬉しかった。

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