愛猫チビのリンパ腫闘病記④~~3回目の抗がん剤と『可愛い』を思い出した日~

猫とガン

モリモリとご飯を食べ、水を飲み、静かに眠る。
そのおかげで、チビの体重は3.3kgまで増えた。
以前はジッとしていることが多かったが、今は走ったり、同居猫にちょっかいをかけたり、壁紙を剥がしたり。
以前の生活が戻ってきた。 体も少しふっくらした。

だが、油断はできない。

リンパ腫は、治療によってがん細胞を完全になくす「完治」ではなく、がんを小さくして症状が落ち着いた「寛解」の状態を目指すことが多い。

放射線治療や化学療法で、できるだけ長く寛解を維持する。 それが治療の目標だ。


抗がん剤が効いて、元気になったチビ。
治療はつらい。 それでも、きっと寛解にもっていける。
大丈夫だ。きっとうまくいく。

そして、3回目の抗がん剤治療の日。

ここで、チビに変化があった。


いつもなら注射をする時、暴れる。
だが今回は、針を刺す瞬間も彼女は動かなかった。
 ジッと我慢していた。

賢い彼女は、暴れても注射されること、ジッとしていればすぐに終わることに気付いたのだろう。

「おとなしいねー。可愛いねー」

チビを保定しながら、看護師さんが言った。
動物を怖がらせないよう、落ち着かせるために優しく声を掛けることがあると聞く。
 きっと看護師さんにとっては、いつもの声掛けだったのだろう。


けれど、その言葉を聞いて私はふと気付いた。

チビに最後に「可愛い」と言ったのは、いつだっただろう。

最近は、 「頑張って」 「苦しいよね、しんどいね」 「ご飯、少しだけでも食べて」 そんな声掛けばかりだった。
いつの間にか、私の中でチビは病気になった可哀想なチビ」になっていた。

目の前にかかっていた「可哀想」フィルターを外して、改めてチビを見る。


可愛い、可愛いキジ白のチビちゃん。

賢くて、頑張り屋のチビちゃん。
「病気の可哀想な子」じゃない。 それだけじゃない。

「……えらいね。いい子だね」


久しぶりに、「可愛い」という気持ちでチビの頭を撫でた。
目の前にいるのは、私の愛猫だ。
ウルトラスーパー可愛い、大好きなチビちゃんだ。


家に帰ったら、たくさん褒めよう。 たくさん「可愛い」と言おう。
まずは今日の治療が、無事に終わりますように。
そう祈った。

血液検査では、WBC(白血球数)が9.90まで回復していた。 前回は基準値ギリギリの3.17だったので、ひとまず安心した。

3回目の抗がん剤は、ビンクリスチンを投与した。 1回目と同じ薬だ。
薬は抗生剤とステロイドが処方された。

費用は13,847円。


万札が簡単に飛んでいく。
この時は、ペット保険に入っていればよかったな、と少し後悔した。

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